西陣は、本しぼ織(通称:お召し)や紬(つむぎ)といった先染めの着尺、コート地が得意である。他にも、友禅染などの後染めの着尺に使われる白生地も生産する。「西陣」というと華やかな着物を思い浮かべがちだが、それは帯のはなし。実は西陣の着尺は絣(かすり)模様や縞(しま)模様などシンプルでより普段着に近いものが得意である。ちなみに矢絣は西陣で生まれた模様で、全国に広まったものだ。着尺の産地は日本各地に点在するが、先染めの産地は少ない。しかも、1産地に1製品というのが主流であるのに対して、帯などで培われた織りの伝統からお召し、風通(ふうつう)、羅(ら)、紗(しゃ)、紬など多彩な製品を作り出すことができる。西陣が有する技術の特徴は以下だ。
後染めの着尺とは文字通り織り上げた後に染める。すると、染色の際に絹をとりまく「セリシン」という物質を取り除くので織に微細な隙間が出きてしまう。先染めの着尺の場合は、あらかじめセリシンを取り除くので密度を細かく織ることができ、丈夫でシワになりにくい着物ができあがる。
もじり織などを用いて、羅(ら)や紗(しゃ)とよばれる透かし生地をつくることができる。夏の薄お召しや純紗は風通しの良い、西陣独特の着物。透かしをいれると絹の微細な太さの変化がひと目で分かることから、均質な高品質素材でのみできるうそのつけない織物を作る。他にも風通と呼ばれる二重構造の織り手法など多彩な技術に溢れている。
西陣の着物機業は小ロットでも対応が可能。業者向けにも一般的な産地は20反単位の受注であるが、5反からの製造も可能。
着物やコート地を探すときにはぜひ西陣織の着尺を手に取ってみて欲しい。品物の良さを実感できるはず。さらに、これらの着尺はバッグや草履にも使うことができ、その応用範囲は多岐にわたる。