「肩傘」とは「肩」に羽織るショールやストール・マフラーや、「傘」に使われる織物のこと。西陣といえば和装の高級品を連想させるが、洋装においても本物を作りつづけている。
肩傘に息づく技術は洋装に向いている。糸や色を自在にだすことができ、小ロットでスピード生産。新商品の試作やテスト販売、急激にヒット商品がでる場合など、最大限に実力を発揮する。これらの特長は変化の激しい洋装品の生産に向いている。近年、大流行となったパシュミナも西陣で大量に生産された。以下の4つが肩傘の技の特長だ。
西陣の強みとして地理的にも技術的にも糸屋との関係が深いことがあげられる。金銀糸はもちろん、どんな色でも、どんな素材・太さでも自在に操ることができる。 細い糸の中に太さの変化する糸を入れることも可能。色・素材・太さなどなんでもこいの技術力で多彩なデザインと生地風を演出できる。
西陣の機械は大量生産向けではない。生産効率は高くないものの職人の微妙な加減を生地に伝えることのできる汎用性の高い機械だ。少ない単位での要望に応えられる。 マフラーならマフラーの幅に織り、ひとつひとつに「端」のあるほつれにくい一品に仕上げる。丁寧でありながら細かなニーズにも小ロットで対応できる技である。
柄がストックされているのも西陣織の技の一つで、既存の柄であれば1週間で商品ができる。新しい柄でも分業体制を活かして1ヶ月で商品化できる。
糸の撚(よ)り(伸縮性や強度を変える)具合を利用して、透かし模様を入れたり立体的な細工ができる。編みの細工を使えるのも肩傘特有の技である。
もちろん個々の技が独立しているわけではない。作りたい商品の目的に合わせ、糸の質感、重さ、強度、組み合わせを決める。なおかつ、その素材や加工が得意な糸屋をセレクトし、使う人にとって最も使い心地のいい一品に仕上げる。素材、価格、スピードそしてクオリティー、これらをトータルデザインできる資源が西陣にはあるのだ。
やわらかな生地風をはじめ麻で編み細工もできる。もちろん金銀糸は得意中の得意。 使う人の使い心地をイメージして総合的にデザインする。
洋装は流行の移り変わりが激しい。だからこそ生産に時間をかけずにクオリティーを求めるメーカーにとっては最適である。肩傘の技術はあらゆるニーズに応える変幻自由な技だ。まずは商品を見て欲しい、そして西陣で生産を試して欲しい。確かな技に裏づけられた満足のいく一品一品を手にすることができるだろう。
夏向けには日傘や冷房よけも。帯やお守りの生地なども生産している。